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5. 患者さんのプライバシー

 

1. 患者の健康状態、症状、診断、予後および治療に関する本人を特定し得るあらゆる情報、ならびにその他すべての個人的情報の秘密は、患者の死後も守られねばならない。ただし、患者の子孫が自らの健康上の危険に関わる情報を知る権利は、例外的に認められる。

2. 秘密情報の開示は患者本人が明確な承諾を与えるか、法律に明確に規定されている場合のみ許される。他の医療従事者への情報開示は、患者が明確な承諾を与えていない限り、業務遂行上知る必要がある範囲内でのみ許される。

3. 患者を特定することが可能なデータは保護されねばならない。データの保護はその保存形態に応じて適切になされねばならない。個人の特定が可能なデータが導き出されうる生体試料や標本も同様に保護されねばならない。

これは、1981年10月ポルトガル・リスボンにおける世界医師会(WMA)第34回総会で採択された「患者の権利宣言(リスボン宣言)」の第8条「秘密保持に関する権利」の条文です。個人の医療情報のプライバシーを保護するための理念が唱われています。

患者さんが医療サービスを受ける際、例えば医師の診察を受けたり、入院したり、薬局で処方薬を購入したり、保険会社に支払い請求をするなどの際には、その都度その人の医療情報が記録されます。この様な個人の医療情報は非常に微妙な人には知られたくないものが含まれています。これまでこの種の情報は医師のオフィスや病院に診療録(いわゆるカルテ)として記録、保存され、外部の者の眼に触れないように注意が払われ、プライバシーがそれなりに守られていました。ところが現在では、これらの医療に関わる情報がコンピューターに記録され、必要に応じて他の医療機関、保険会社に短時間で転送されるようになり、医療費の支払いなどが非常に便利になった一方で、これらの目的以外でも、個人情報を外部から比較的容易に入手できるようになってしまいました。これは、医療関連サービスの分業化により、各種の検査、薬の処方、医療費の支払いなど、医師以外の介在サービスが増えたことにも原因があります。従って、個人の医療情報という極めて微妙な情報が、医療行為や医療費の支払いには直接関わらないにも拘らず、利用や開示に関する告知や患者の同意書がないまま外部に流出してしまう危険性がでてきました。そこで、個人医療情報の取り扱いに関するルールが必要になりました。

皆さんもすでにお気づきのことと思いますが、アメリカで医師、歯科医師あるいは処方薬局などを訪れると、必ず個人の医療情報の取り扱いに関する書類に署名するよう求められます。これは、医療機関を受診された患者さんが、個人情報の取り扱いについて事前に説明を受け、それに同意したことを記録するものです。この手続きは、HIPAAと呼ばれる法律に基づいています。このHIPAAとはいったい何なのでしょうか。

HIPAA は、The Health Insurannce Portability and Accountability Actの略です。日本語に訳すと、「医療保険の携行と責任に関する法律」という意味です。この法律の原型ができたのは1996年、クリントン政権の時です。法律制定の当初のねらいは、企業の従業員の医療保険のカバーを保証すること、膨大な保険事務処理を標準化することで医療にかかるコストを下げることにありました。保険会社は各社独自の事務処理システムを採用していましたが、医療費請求の間違いが多く、効率の悪い紙書類での処理を減らし、共通のフォーマットを使うことで、全体的な経費節減を計ろうとしました。この電子化される情報の中には、患者さんの病気や診療に関するプライバシー性の高い情報や保険利用データが含まれています。この種の個人情報が万一悪用されると深刻な被害を及ぼす恐れがあるため、それを強く保護する必要が出てきました。法律が制定され、最終的なプライバシールールが制定されるまで、5年もの時間がかかりました。このHIPAAは最終的に2003年4月14日に施行されました。

このHIPAAの対象となるのは、アメリカ国内の医療、保健にかかわるすべての企業、組織、人です。具体的には、health plan/health insurer(医療保険会社)、病院、医師などのhealthcare provider(医療提供者)、healthcare clearing house(事務処理会社)のいずれかに属する組織で、非常に広範囲にわたりますが、生命保険会社や労働災害給付機関などは該当しません。また保護の対象となる情報は、電子データとして保管されるすべての医療、健康情報で、さらにプライバシー保護基準が適用されるのは、電子データ以外にもあらゆるフォーマットのデータ、紙書類から口述録音までのすべて情報が含まれます。HIPAAは、アメリカ国内で医療サービスを受ける患者さんに特別のプライバシー権を認め、これを保護するための特別なルールを定めました。これがHIPAAのプライバシールールと呼ばれるものです。この法律の違反者には罰則が課せられます。

このルールの内容は、まず一般的な原則として、患者さんの医療を直接担当する医師、医療機関は、医療行為(treatment, payment, or health care operations=TPO)の実施のために、医療情報(protected health information=PHI)を開示、利用する必要がある場合には、事前に患者さんの同意を得なければならないと定めています。これが、医療機関を受診した際に署名を求められるプライバシーに関する書類です。ただし、救急医療などの現場で緊急を要する場合には、事前の同意は必要とせず、すぐに医療行為を始める必要があるかどうかの判断は医師側に任せられます。また、医療情報の取り扱いに関する患者さんの同意は文書にて行われる必要があります。患者さんは書面にて同意を撤回することもできます。患者さんがPHIの利用や開示を拒否する場合には、医療提供者は診療に応じなくてもよいことになります。またPHIをTPO目的以外に利用、開示するためには、本人の許可(authorization)が必要です。また、自分の関わる医療記録のコピーを請求する権利、記録の内容を調べ、その一部を訂正してもらうなどの権利、誰が自分のPHIにアクセスしたかを知る権利、などが患者さんに認められます。ただし例外として、伝染病が発生した場合には、個人情報保護の建前からこれを公表しないと公衆の健康が損なわれるため、公益が優先され、公衆衛生機関に開示の責務があり、開示しても規則違反になりません。HIPAAのプライバシールールに関しては、Department of health and human servicesのサイト(www.hhs.gov/ocr/hipaa/)で、一般の方でも読むことができます。

アメリカは、“個人のプライバシー”を非常に尊重する国です。HIPAAの成立により、これまで比較的遅れていた医療の分野でも、個人情報の保護のガイドラインが明確に定められました。患者さんが自分の持つ権利を理解し、それを適切に主張することは、アメリカでより良い医療を受けるために大切なことだと思います。


 
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