title
home medical preventive antiaging antiaging member
sa当クリニックについて
saドクター紹介
sa診察項目
sa医療情報
saドクターKのこだわり
saアクセス
saお問い合わせ

シリコンバレー オフィス
Melchor Pavillion
2490 Hospital Drive,
Suite 105
Mountain View CA 94040
Tel. 650.962.4630
Fax. 650.962.4631


サンフランシスコ オフィス
490 Post Street,
Suite 1244
San Francisco CA 94102
Tel. 415.699.6495/
415.834.5114
Fax. 415.834.5812

E-mail:
info@kobayashi-naika.com

medical info sa医療情報目次へ

6. 前立腺の健康のすすめ

 

前立腺は男性特有の臓器です。女性にはありません。精液の約3割を占める前立腺液を分泌します。膀胱から尿道に移行する部分にあり、尿道を取り巻くように存在します。その大きさはクルミぐらいで、内側にある内腺と外側にある外腺とに分けられます。

この前立腺からは、大きく2つの病気が発生します。前立腺肥大症は、尿道を取り巻く主として内腺が大きくなり、尿道を圧迫します。これに対して、前立腺癌はその外腺から、特に後面すなわち直腸に接している部分から発生します。いずれも加齢とともに増加しますが、前立腺癌はまれに比較的若い世代でも進行癌として発見されることがあるので注意が必要です。

1. 前立腺肥大症(benign prostate hypertrophy, BPH)

前立腺肥大症は男性ホルモン依存性の良性腫瘍で、年令とともに増加します。40%才以上の男性の80%に見られ、80才以上では95%にもなります。一般に睾丸を除去すること以外に予防する方法はありません。

初期には無症状ですが、進行すると、
1) 刺激症状:頻尿(frequency)、特に夜間頻尿(nocturia)、尿意切迫感(urgency)、
2) 閉塞症状:尿が出にくい(hesitancy)、排尿に勢いがない(weak or intermittent stream)、排尿に努力を要する(straining to void)、残尿感(incomplete emptying)、の7主症状のほか、
3) 感染症状:排尿痛(dysuria)、血尿(hematuria)、などをきたします。
この7主症状を点数化し、その重症度が評価されます(international prostate symptom score, I-PSS)。尿路の通過障害のために、腎臓に水腎症(腎杯と呼ばれる部分の拡張)をきたし、腎不全(腎臓の排泄機能が低下すること)を生ずることもあります。約2%にインポテンツを生じます。また、成人男性では一般に膀胱炎を起こすことは少なく、それを繰り返す場合には前立腺の病気の存在を疑わなければなりません。

BPHの診断は直腸診(digital rectal exam、DRE)でなされます。医師が指を直腸に挿入し、前立腺を触診し、その大きさを一般にccの単位で評価します。前立腺が全体に肥大し、弾性硬で、その表面が平滑であることが前立腺癌との違いです。その肥大の程度、排尿障害の程度などをより客観的に評価するために、排尿速度の測定(10 ml/sec以下が異常)、残尿量の測定、膀胱尿道造影などが行われることもあります。

治療方法の選択には、症状の程度、日常生活への影響、その他の病気の有無などが考慮されます。軽度の場合には単に経過観察されることもあります。その場合、熱い風呂、アルコールや過剰な性生活を避ける、尿意を催したらすぐに排尿する、などが勧められます。治療が必要であれば、薬物療法か手術療法が選択されます。薬物療法に使用されるのは以下の薬(いずれも処方薬)です。
1) 交感神経α受容体の阻害薬(Cardura、Flomax、Hytrin):膀胱頚部(膀胱の出口)の筋緊張を解く作用のある薬剤です。高血圧の治療に使用されることもあります。
2) Finasteride(Proscar):男性ホルモン合成阻害剤で、前立腺のサイズを縮小させる作用がありますが、その効果発現まで平均して6ヶ月程度かかります。頭部脱毛症にも使用されます。
外科的治療は、失禁、尿閉塞をきたした症例、血尿、尿路感染症を繰り返す症例に行われ、経尿道的前立腺切除術(TURP)が代表的手術です。

2. 前立腺癌(prostate cancer)

前立腺癌は従来日本人には少ないとされてきましたが、ライフスタイルの欧米化により近年著明に増加しています。興味深いことに、ハワイに住む日系人における前立腺癌の発症率は、日本に住む日本人のそれの9倍であり、前立腺癌の発症には環境要因が深く関係しているといえます。従って、アメリカに住む日本人男性は、同じ日本人であっても前立腺癌の予防、早期発見により真剣に取り組むべきです。

前立腺癌の危険因子としては、男性ホルモンの増加、肉食や脂肪摂取量の摂りすぎが重要であることが知られています。その他、アルコール、喫煙、ビタミンAの欠乏、性生活(性交回数が多い、相手が複数、非妻帯者、離婚後独身、20代、30代の活発な性生活、質的に不満な性生活など)、カドミウムへの暴露、などが可能性として挙げられています。反対に、緑黄野菜を毎日摂取する人はリスクが少ないとされています。

前立腺癌はその発育が極めて緩徐で、最初に癌細胞ができてから直径1cm程度になるまで30年以上かかるとされています。そのため潜在癌が多く、50才以上の日本人には約20%の頻度で潜在癌がみられるとの報告もあります。発育が極めて遅く、かなり大きくなるまで無症状であるため、その診断が遅れがちです。また、特に初期の症状が前立腺肥大とよく似ているため、しばらく単なる肥大症として治療されていることもあります。自覚症状としては、初期には前立腺肥大と同様の症状を呈するほか、進行すると、下背部痛、排便時の痛み、骨の疼痛、失禁、腹痛、貧血、体重減少などをきたします。直腸診による触診では、前立腺の一部に非常に堅い、表面の不整な腫瘤を触れます。

前立腺癌には前立腺特異抗原(prostate specific antigen、PSA)と呼ばれる血液腫瘍マーカーがあり、癌の早期発見に非常に有効です。直腸診とPSAの増加により癌を強く疑われた場合、最終的に前立腺生検により確定診断がなされます。PSAの増加のみで、腫瘤の場所が触診でも、画像診断でも明らかでない場合には、内視鏡下にマッピング生検という検査が行われます。

治療の選択は癌の進展度や年令などによって異なります。根治手術が基本ですが、その他にも放射線療法や内分泌療法の併用などが行われます。最近、尿失禁、インポテンツなどの副作用の少ないSeed Implantationという局所放射線療法が注目されています。

アメリカでは、前立腺癌は全年齢層を通じた男性の癌死亡率の第3位、75才以上では第1位を占めます。従って、アメリカでは前立腺癌の早期発見のためのスクリーニングが重点的に行われています。現在、スクリーニングとしては、40才以上の男性に毎年の直腸診が、また50才以上になると直腸診に加えて、PSAの測定が行われます。前立腺癌への関心が高いアメリカでは、高齢者でインテリだとほとんどが自分のPSA値を知っています。このPSAのおかげで、前立腺の発見率がこの10年間で約2倍になりました。

前立腺癌を予防するためには、牛肉の脂肪をできるだけ摂取しないこと、出来るだけ黄緑色野菜を食べること、お酒、喫煙を控えることが勧められます。また、前立腺癌は進行が比較的遅く、早期に発見し、早期に治療を行うと良好な予後が期待されるため、前立腺癌検診は大切です。40才以上の男性の方は、定期的な検査を受けられるよう主治医の先生に相談してみてください。


 
Copyright © 2010, Kobayashi Medical Clinic All rights reserved.